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2005年 06月 13日

王子様は哲学者

"Songs To Remember" (1982)
Scritti Politti

c0066843_241336.jpgラジオは中学から高校時代にかけての貴重な音楽情報源のひとつで、とりわけNHK-FMで毎週火曜日にオンエアされる坂本龍一の「サウンド・ストリート」は必ず聴いていた。そのころ坂本氏のファンだったということもあるけれど、他では聴けない音楽がここで聴ける、というのも魅力のひとつだった。この番組ではピーター・バラカンがやってくる回が定期的にあり、彼のかける大人っぽい音楽をその美しい声ともども聴き惚れていたものだ。その彼のかけた一曲に、スクリッティ・ポリッティの"Rock a Boy Blue"があって、渋い曲調がずっと記憶に残っていた。
とはいうものの、スクリッティをちゃんと聴いたのは、その後に出た"Cupid & Psyche 85"からであり、派手なパーカッションに彩られたポップな歌に加えて、ヴォーカルのグリーン・ガートサイドの王子様のような風貌と愛らしい声に当時私ども女子たちは参っていた。それが数年前から急に懐メロモードに入り、スクリッティの曲を久々に聴いてみたら、もちろん"Wood Beez"などの曲もよいのだが、ずっと頭から離れなかったあの曲が入っている「ソングス・トゥ・リメンバー」のほうが、がぜん新鮮に思えてきた。
スクリッティの魅力はキャッチーなメロディーや、グリーンのルックスだけでなく、全体に漂うインテリジェンスにもある。グリーンの他に誰が"Jacques Derrida"なんて曲を書くだろうか。いつも憂いを帯びたような彼の顔は、思想家のそれでもあったのだ。だからなのかはわからないが、ツアーなどの音楽活動は、肉体的にも精神的にもこたえたらしく、一度は音楽業界に嫌気がさして引退状態だった。それが8年間の空白の後99年にカムバックしてビックリしたのだが、11年前のアルバム("Provision")と路線はあまり変わらず、パッとしなかった。その後は音沙汰がないのだが、やっぱり彼にはこの業界はキツイのだろうか。体を大切にしていつまでも美しい思索者でいてください‥‥。
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by exquise | 2005-06-13 03:44 |
2005年 06月 12日

近所に住んでいたらいいのに

"The Madness" (1988)
The Madness

c0066843_22475379.jpg80年代は、TVのCMにやたらとUK音楽が使われていたように思う。ABC、Haircut 100、Pig Bagなどがすぐに浮かんでくるけれど、本人たちまでブラウン管に登場したのが、このマッドネスである。私と同世代なら、7人組の彼らが縦1列になって、「ホンダ、ホンダ‥‥」とやっていたあのCMを覚えている人も多いだろう。あの人たちはいったい何者だろうと思って、初めて聴いたのが"7"だった。
彼らはスペシャルズと並ぶ、スカバンドの有名どころで、前者はヴォーカルが後のファン・ボーイ・スリーのテリー・ホールだし、クールなイメージが強かったが、マッドネスは気のいい兄ちゃんたちが集まってやっている感じの親しみやすいバンドだった。それは彼らのライヴ風景や、ヒットした"House Of Fun"や"Our House"などのプロモーション・ヴィデオをみても一目瞭然で、ハチャメチャ感が強いなかにも、常に彼らの人のよさはにじみ出ているのだった。
"7"や、その次の"Rise and Fall"などもよく聴いたけれど、自分にとって今マッドネスのアルバムのなかでこれ、というのなら意外にもこの「ザ・マッドネス」である。1986年に解散後、再結成をへて発表されたこのアルバムは、ピークを過ぎた後の作品と言われても仕方がないかもしれない。スカっぽさはあまりないし、普通のポップソングの寄せ集めと言ってしまえばおしまいだが、彼らのソングライティングのセンスは決して失われることなく、ヴォーカルのサッグスの声も相変わらず魅力的で、やっぱり素敵な作品だ。"I Pronounce You"なんて本当に名曲だと思う。所属レコード会社を追われたり、色々な目にあっているようだが、愛すべきイギリスのバンドのひとつには変わりはない。
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by exquise | 2005-06-12 23:29 |